EBMワークショップを開催します

図書館員と医学・看護学・薬学の学生、医療従事者をつなぐEBMワークショップというのをすることにしました。

https://www.facebook.com/librarians.ebm.workshop/

EBMワークショップというのは、Evidence Based Medicineを実践するためのワークショップとして臨床医や薬剤師の方々が近年盛んに開催しているのですが、EBMの基礎を学ぶ講義や、臨床医学論文をグループに分かれて読んで発表し合ったりする実践的な勉強会です。

参考:
EBM&Epidemiology Wiki

CASP Japan

The SPELL

日本の図書館員で、医学図書館にいる人で、医学を勉強していた人というのはめったにいません。大体文学部とか法学部とかを出ている文系の人で、医学とか生物学とかは高校までの知識がせいぜいという人が多いのです。そんな私たちが、資料を提供しているわけです。

図書館員は提供する資料の属する分野に精通していなければいけないわけではなく、まずは資料の探し方、どこに何があるか調べる方法というのをわかっていることが重要なのですが、一体ユーザが普段どのような情報探索行動をしているのかということを知るのも、ニーズに合ったサービスをするためにはとても大切なことです。

そこで、臨床医や薬剤師の人達が学んでいる勉強会に行けば、ユーザが何を求めているのか、普段はどうやって情報を探しているのかがわかります。

といっても、私は何度かこういったワークショップに参加しましたが、いつも頭がひっくり返りそうになります。そこにいる人たちの間では当り前の知識である病気の治療法、そこで使われる薬の知識。予習もせずに参加した場合は、わからないまま黙って聞いていたり、隣の人にこっそり聞いたり、思い余って質問したりします。普段、現場で医療を実践しているわけではないので、実感を持って勉強できるとも言いにくいです。そして、いつも10年以上もこの図書館にいながら、医学の勉強を自分で行ってこなかったことを後悔します。「医者は6年で勉強するんだけどね、図書館員はもっとたくさん時間をかけて勉強すればいいんだよ!」とおっしゃっていたT先生の言葉を思い出します。先生ごめんなさい。教えを守っていません。これからでも間に合えば・・・。

私は例えば図書館員が1人もいない勉強会などアウェーの世界に飛び込んでいくのは楽しいのですが、図書館員仲間でそういう無茶なことをする人はあまりいません。日頃から勉強しておられてこういうワークショップに参加している方々はいますが、そういう人もたくさんはいません。

でも、難しくて辛い時もありながらも、こんなに役に立って楽しいことに自分だけ参加するのはもったいないし、もうちょっと臨床医学ばっかりではない内容のものがあったら参加しやすいのではと思ったので、図書館員が参加しやすいEBMワークショップをすればいい、と考えました。

忙しい中、熱い思いを持った臨床医のお二人がこの企画に賛同して協力してくださることになったおかげで、ワークショップは実現に向けて走り出すことができました。参加申し込みも続々とあります。

もともと私はこのワークショップを通して、図書館員がEBMを実践するということを理解し、医療従事者・学生と理解し合い、図書館員のレベルの底上げをする!というような目的意識を持っていたのですが、企画する中で二人の先生から素晴らしいことを教えていただきました。

それは、このワークショップの本当のゴールというのは、患者がうける医療の質の向上である、ということです。医療を取り巻く人々が理解し合い、勉強して医療の質を上げれば、最後には患者さんにその質の高さを提供できる。素敵な目標です。

まだ当日までいろいろとやることがあるのですが、楽しく勉強できる1日になるように準備したいと思います。まだ募集してますので、興味をお持ちの方は、よかったらどうぞお申込みください。