大図研京都ワンディセミナー「若手研究者の文献利用環境を巡る問題と図書館へのニーズ」

今日は大図研ワンディセミナー「若手研究者の文献利用環境を巡る問題と図書館へのニーズ」に参加した。
面白かった。いろんな問題点が明らかになった。

一言でいうと、若手研究者の就職問題と、文献入手が難しい問題についての話。なんだけど、簡単に解決できないいろんな要素がからみ合っていることがわかった。

大学図書館では、非常勤講師や卒業生や、その大学に所属していない研究者に対しては、学内の研究者と同様にサービスをしていない。それは、電子リソースの契約や、限られた予算や、大学の方針や、いろんなことと絡んでいる。そして、サービスできない人達を「公共図書館をご利用下さい」と公共に誘導せざるを得ないことがある。

公共図書館では、どこでも十分な研究者への支援体制ができているとは言えない。そもそも、研究者に向けて資料をそろえてサービスしている大学図書館がすぐそこにあるのに、なぜそれを避けてサービス対象がALLの公共図書館に行かなければならないのか?と研究者としては疑問を抱くみたいだ。

公共図書館大学図書館の文献流通がスムーズに行ってない問題。これはたしかにそう。しかし私のような医学系図書館の人間からすると、公共図書館の資料をほしいと言われることがほとんどないので、こちらから何かを依頼することがほとんどなく、不便さもそんなに感じていなかった(こちら側の融通のきかなさは気付いていたけれど)。ところが、たとえば日本史とか、人文系の大学図書館の人達は、結構公共図書館との資料のやりとりがあるという。これは驚き。若手研究者でも、分野によって、公共図書館でかなり資料を集められるという人と、医学や、西洋史のように、専門的だったり洋書が多かったりして、ほとんど公共図書館の資料は役に立たないという人がいる。

そしてさらに、大学間格差の問題。データベースや資料の構成など、大学の経済状態がダイレクトに反映する部分ではある。どの大学に所属しているかによって、文献入手にかかるお金はずいぶん変わる。

等々・・たくさんの問題点があった。これを放置することによって、日本全体の学術研究が停滞する方向に向かう。図書館だけの問題じゃないんだけど、だからといって放っておいて良いものでもなくて。

講師から「若手研究者は将来教員になる可能性が高いので、若手研究者には早めに恩を売っておけばよいのでは」という発言があった。わかる、わかるけど。

私達にまずできることは、こういった問題があることを覚えておくことだ。意識するだけでも、きっと変わる。そこから始まる。

そうして、何かできるチャンスがあったら、逃さずにつかんでいくといいと思う。抽象的なことしか言えないけど、ほんとにこう思ってます。


Togetterまとめ
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