EBMワークショップが無事終了

3月17日(土)に京都府立医科大学で開催したEBMワークショップが無事終わりました。参加者は28名。
当日のスケジュールは次のような感じでした。

9:30 〜     スタッフミーティング
10:30 〜 受付
11:00〜11:30 イントロダクション『ようこそ!EBMワークショップへ!EBM概論』
11:30〜12:00  はじめてワークシートの説明
12:00〜13:00 ランチタイムセッション 
13:00〜13:30 SGL:スモール・グループ・ラーニング
13:30〜14:00 フィードバックと全体セッション
14:00〜14:30 SGL:スモール・グループ・ラーニング
14:30〜15:00 フィードバックと全体セッション
15:00〜15:30 SGL:スモール・グループ・ラーニング
15:30〜16:00 フィードバックと全体セッション
16:00〜16:20 コーヒーブレイク
16:20〜17:20 解説
17:30      閉会
片づけ・スタッフミーティング
18:15 〜     懇親会

講義や説明、まとめや解説はすべて、今回全面的にご協力いただいたEBMに詳しいお二人の臨床医が頼りです。
午前中のセッションは講義形式ですが、初めから、28人は5グループに分かれて座りました。ランチタイムセッションになると、お昼を食べながら話がはずんできました。参加者は、図書館員が半分。残りの半分の人達は、医師・看護師・薬剤師・大学教員・学生といういろいろな身分の人達です。こういうメンバーで顔を合わせて話しているということ自体がすっごく貴重な時間です。

午前中はEvidence Based Medicineに関する講義。カジュアルでリラックスした雰囲気の中で、EBMについて勉強しました。その後、ランダム化比較試験を吟味するためのワークシートについての説明。CASPという団体で作成されたものです。
http://caspjp.umin.ac.jp/materials/caspsheets/index.html
ランチタイムセッションでは、情報提供と医学図書館の臨床現場へのサービスに関するミニレクチャー。

午後はいよいよ、今回教材としてとりあげた論文を吟味していきます。
A randomized effectiveness trial of a clinical informatics consult service:impact on evidence-based decision-making and knowledge implementation.
Mulvaney SA, Bickman L, Giuse NB, Lambert EW, Sathe NA, Jerome RN.
Journal of the American Medical Informatics Association : JAMIA. 2008 Mar-Apr;15(2):203-11.

論文は、米国テネシー州にある、ヴァンダービルト大学での取り組みについてのランダム化比較試験の報告です。このCICS(臨床情報コンサルトサービス)というサービスは、訓練を受けたライブラリアンが、病院等の臨床現場で情報提供をするのですが、サービスを提供した場合と、しない場合を比較して、効果があったかどうかを検証しています。3回に分けたセッションで、論文をグループごとに読み進め、フィードバックの時間に各グループが発表をします。英語が苦手な人もいるし、論文を読んできていない人もいるのですが、みんなが楽しくディスカッションを進められるようにチューターが各グループに配置されて、議論を進めてくれます。最後のセッションまでに、日本で同じようなサービスが可能かどうか、どうしたら可能になるか?というような話までできました。

今まで医師・薬剤師の方々で開いておられるワークショップに何度か参加するたびに、何でこんなに面白いものに図書館員が参加しないの?と思ったところから始まったワークショップが実現して、夢のようでした。ライブラリアンの人達も面白いと思ってくれたならいいんだけど・・・と思っていたら、ブログに書いてくれた人がいました。
http://naramedulib.seesaa.net/article/258649423.html
http://yaplog.jp/himechiz/archive/3062
http://ameblo.jp/librari/entry-11196246415.html

EBMってもう昔の話じゃないの?と思ったこともあったのですが、臨床医がアタマの中ではPECOを無意識にでも手順として踏んでいるということを今回教えていただき、EBMが一時的な流行とは違う概念であるとわかりました。

今回のひそかな、そして真のエンドポイントである「医療の質の向上」につながったかどうか、すぐにわかるわけではないし、目で見てわかるわけではないかもしれないですが、参加した人たちには何かポジティブなものを感じ取って持ち帰ってもらえたということは確信しています。

ワークショップって何?と思う人も、英語論文だからと腰が引けている人も、一回ぜひ参加してみてほしいです。グループセッションという形が、いい学びの形なんだなと思えるかもしれないから。

年に2回くらいは開催できるんじゃない?と言ってた人もいましたが、今回ワークショップに参加したライブラリアンの中で、また参加したいと思っている人が多ければ、必ず次ができると思います。

ご参加のみなさん、どうもありがとうございました。楽しかったですね!またお会いしましょう。