コクラン・レビューの勉強会

昨日の勉強会で読んだコクランのシステマティックレビューは、がん患者に対して、抗凝固療法という治療はどれくらい効果があるの?という内容でした。抗凝固療法をすると、血管の中にできる血の塊が溶けてサラサラになる。その一方で、血が止まりにくくなるという怖さがあるようです。この療法によって1年後、2年後の生存率はどうなのか。その他にも、出血のしやすさや、QOLがどうなるのか。このテーマでたくさん研究が行われています。

1つのテーマを決めて、厳密な方法で調査した論文を網羅的に集めて、統計的に結果を統合して結果を見る。これがシステマティックレビュー。

昨日使った文献はこういうものです。
Parenteral anticoagulation in patients with cancer who have no therapeutic or prophylactic indication for anticoagulation
治療・予防に抗凝固療法をしていない癌患者に対する非経口の抗凝固療法
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21491396

コクランレビューの読みかたはだんだんわかってきたんだけど、読んだ後患者さんに対してどう適応するかという部分は、普段の仕事で全く意識してないことなので何度勉強会に参加しても思い至らないところが多くて面白いです。例えば、どこの部位の癌なのか。余命はあとどれくらいなのか。この療法は注射か点滴が毎日必要だから、外来の癌患者さんには厳しいのではないか。この療法を受けるために必要な金額はどれくらいなのかとか。医療従事者の人達の頭の中には、いろんな患者さんのイメージが次々と湧き上がってるみたいなんだけど、私のように家族にも職場にも癌患者さんがいないと想像するしかないのです。今のところ私はかなり健康な人達の間で生活してるんだな、でも今後自分もまわりも変わっていくんだろうな、といつも思います。

最近画期的なことは、同じ職場のスタッフさんが1人、一緒に勉強会に参加してくれるようになったこと。16年も一緒に働いていて。今、彼女に何か波が来ているんだと思います。

すごくありがたい!嬉しい!でも、今までずっと図書館員一人ということが多かったので、こうして一緒に来てくれる人に対しての心構えができていないのです。自分が誰かに手を引いてもらってここへ来たわけではないので、後から来た人に対して放ったらかしてしまうんだけど、何だか気になります。同じグループでディスカッションすべきなのか、一緒に帰るべきなのか(どっちもしてない)。あんまり押し付けがましいのも何だし。今後もこんな感じで。

私の職場においては、今年から医学部5年生に対してEBMの実習を1コマ図書館で協力させてもらうようになったし、お休みの日に一緒に勉強する仲間が一人増えて、何か、新しい扉を開いた!という感じはあります。これからどうしていくか、考えていかないと。